人文学部


演習紹介(日本・東アジア)


 

日本・東アジア入門演習 担当:伊東貴之
日本思想史演習 担当:八木清治
伝統文化実技演習1 担当:漆澤その子
朝鮮文学史演習など 担当・渡辺直紀




日本・東アジア比較文化学科の専任教員が行っている演習を、順次紹介していきます。武蔵大学の特色の一つは、一年次の基礎演習から、4年次の卒論演習まで、4年間を通じて、さまざまな演習が履修できることです。自分でテーマを決め、リサーチを行い、皆の前で発表して全員でデスカッションをし、最後にそれをレポートにまとめるというのが、基本的な内容ですが、演習によっては、実技や調査を行うものもあります。






日本・東アジア入門演習 担当:伊東貴之


 今年度、私は、日本・東アジア比較文化学科の新1年生を対象とした演習(ゼミ)を担当しています。

 この演習(ゼミ)では、この学科の新入生として相応しい基礎的な知識を確認し、関連する諸分野への関心を深めると同時に、今後、2年次以降の専門的な演習(ゼミ)で学んでいくための色々なノウ・ハウを身に付けます。
 資料の調べ方や図書館の活用の仕方、パソコンなどを使った簡単なレジュメの作り方や発表の仕方、レポートの書き方など、今後の学習や研究のための技術的な訓練を積むことも大きな目標です。

 もちろん、その上で、具体的なテーマに即しながら、参加者が問題意識を共有しつつ、議論を深めていきます。

 今年は、山内昌之・古田元夫編『日本イメージの交錯-アジア太平洋のトポス』(東京大学出版会)というテキストを素材にして、日本が、海外、特に関係の深い東アジア諸国や米国から、どのように見られ、その歴史と現在はどのように語られているのか?、といった問題を扱います。
 そこには当然、多くの誇張や誤解も含まれますが、一面で、日本という国の本質の一端を炙り出してもいます。そうした問題を各国の教科書や世論、ジャーナリズムをもとに探り、異文化理解や国際交流をめぐる様々な問題点への考察や理解を深めていきます。

 翻って、こうした他者からの視線、日本イメージを再検討することを通じて、現代に生きる日本人としてのあるべき自己認識や歴史認識といったものも、皆さんと一緒に探っていきたいと思います。

 具体的なトピックとしては、昨年の中国における反日デモに象徴されるような反日感情の高まりには、どのような歴史的な経緯があり、政治的な問題が含まれているのか、戦後の国際政治や冷戦がもたらした影や現代のマスメディアの抱える問題点などについても一緒に考えてみたいと思います。

 もちろん、難しくて硬い問題にばかり取り組むわけではありません。たとえば、各種の文献資料のほか、新聞社や旅行会社、大使館や外務省などのホームページを駆使して、中国や台湾、韓国などの現在の情勢や社会・文化などについて積極的に調べ、適宜、報告してもらいます。サブカルチャーやポップカルチャーなど、各自の関心のあるテーマでも一向に構いません。

 こうした作業を通じて、隣国についての関心を深めるとともに、基本的な知識を共有したいと思います。





日本思想史演習 担当:八木清治


私の担当する日本思想史演習(平成17年度までは日本思想史演習Ⅰ)は、「幕末思想を探る」をテーマに研究調査を行なっています。「幕末思想ゼミ」とでもみなしておいてください。

このゼミの内容は、主に幕末の文献を精読することですが、書物を通して問題を拾い出し、それを議論するだけでは興味を持続し、真の知識が身につかないと考え、3年前からゼミの内容と関係する土地を訪れるゼミ旅行を9月に行なっています。平成15年度は「下田」、16年度は「水戸」、そして17年度は「会津」に行きました。

会津では、まず鶴ヶ城(写真①)の天守閣から会津若松市内を臨みました。城の中は会津の歴史がわかるように展示物があり、私たちが訪れた頃はちょうど特別展示「新選組と会津藩」が開催中でした。NHKの大河ドラマの「新選組!」で用いられた衣装、小道具類も展示されていました。


写真① 鶴ヶ城



2日目は、朝早くから郊外に移築、再建された会津藩校日新館を訪れ(写真②)、午後からは市内循環の観光バス(ハイカラさん号)に乗って、会津武家屋敷、近藤勇の墓、白虎隊の悲劇で有名な飯盛山など、主要な史跡を一巡り。さすがに宿にもどるとぐったりでしたが、「幕末思想ゼミ」として会津はなかなか見どころの多い土地でした。

学生たちの感想では、かつて白虎隊士も学んだという藩校日新館が良かったとのこと。もとは鶴ヶ城に隣接した場所にあったものですが、現在の地に移築再建され、観光および社会教育の場として活用されています。


写真② 日新館(真剣に話を聞いている)

17年度の演習では、吉田松陰の『武教全書講録』(松陰が山鹿素行の『武教全書』を講義したもの、その最初の「武教小学」の部分)を学んでいたので、武士教育機関としての藩校のもつ意義が理解できたことは収穫でした。また、会津若松市という町全体が「幕末の士道」を考えるにふさわしい土地であったことは、書物からだけでは得られない実地の学びになったと思います。旅を通じて学ぶことは、この演習の一つの大きな柱なのです。ちなみに、松陰が宿泊したといわれる清水屋の跡(写真③ 現在は地元銀行の敷地内)がわかり、私の研究活動にも大いにプラスになりました。


写真③ 右端が松陰、中央は土方歳三




2:伝統文化実技演習1 担当:漆澤その子


伝統文化実技演習1は、「自ら経験することによって培われる感性もまた、知識のひとつである。」をコンセプトに、「演習」・「実技」という二本立てで展開している、ユニークな授業です。授業では、まず日本独自の衣服ともいうべき「着物」に焦点を当て、着物に関する用語や歴史などについて、参加しているみんなで調べ発表しました。こうした発表と並行して、みんなで一緒に浴衣の着付けと帯結びを実際に体験しました!


 

みんなの実技体験日記(一部抜粋)

某月某日 初めて自分で浴衣を着てみる。

1年次 Y・Hさん生まれてはじめて(人の力は借りたものの)自力で着付けをした。着方は配られたプリントを見ながらだったけれど、かろうじて形になった気がする。自分が着たり、他の人が着ているのを見て、日本の中で何百年もかけて独自に発達してきた着物は、何と言うか一種完璧な美のようなものがあると感じた。

2年次 I・Jさん今回初めて自分で浴衣を着てみて、浴衣のつくりがすごく機能的であると実感した。さりげなく隙間があいている身八つ口は「おはしょりを出す」、「左右の衿を打ち合わせる」、「シワをのばす」といった点で用いられることやおくみ線を上下揃えることによってキレイに見せることができる、といったように細かい所がよくできた衣服であると思う。しかし、逆にこのような「仕掛け」がある点から言えば、着る時に洋服に比べてシワになりやすいのだと思った。直線的なつくりであるからだと思うが、キレイに着るためには多少のコツが必要だと感じた。

2年次 O・Tさん今回、初めて実際に浴衣を着用してみて、本の「着付け方」を見ながら自分一人で着てみるのとは、また違った発見がありとても楽しかったです。今回の実技の感想としては、腰ひもの結びの強さが自分で思っていたよりもずっと重要であったこと、着物にある様々な縫い目(背縫いは勿論のこと、おくみ線を上下で揃えることも美しく着るコツだということを初めて知りました。)が着付ける時の目安になることなども新しい発見です。様々なところが計算しつくされていると改めて思いました。

某月某日 初めて自分で帯結び(文庫結び)に挑戦する。

2年次 T・Mさん帯結びをやってみて、折り紙みたいで楽しいなぁと思った。帯にしても折り紙にしても、一枚の平らなものから立体的なものになるのが本当にすごいと思う。しかも、そこから色々な形にすることができ、どこも余すところなくしっかり一つのものが形になるのは、昔の人にすごい知恵があったんだと、実際に結んでいて感じた。

2年次 T・Mさん今回の帯結びは、浴衣の時とは違って初めて結んだにしては満足の出来でした。あんな細長くて平べったいものでどうやってリボンを作ってるんだろうといつも不思議に思っていたのですが、やってみると浴衣を締める道具としても、お洒落を表現する装飾品としても、非常に合理的な結び方だったので、文庫結びを考えた人はすごいなぁと思いました。毎回実習の前に着物に関する研究発表があって、その度に着物の奥深さに驚かされますが、実際自分で着付けをやってみると、その深い歴史の中に自分も溶け込んでいるような気がしてとても嬉しいです。


 

某月某日 着付けと帯結びを合体させ、浴衣姿を完成させる。

1年次 T・Tさん今日初めて、浴衣と帯を合体させました!今回は、腰ひもをウエストの所ではなく腰骨の所で着付けておはしょりを多めに作ってみました。帯を結ぶ時に伊達締めを付けたため、非常に帯を付けやすかったです。帯は前回、前部分にしわが寄ってしまったのですが、帯板を入れたらしっかりとしました。本当に楽しい時間でした。全員が浴衣というのも圧巻でした。やっぱり日本人は、着物が似合いますね。

3年次 W・Aさんついに、浴衣と帯を合わせて着ました。今回は授業時間全部を使って実技を行ったので、すごく楽しかったです。最後に、浴衣姿で正座をして挨拶をしましたが、浴衣で正座はラクだなと感じました。帯の部分が背もたれのような感じでした。そして、自然と背筋がシャキッとします!!改めて、浴衣の良さを実感しました。

3年次 W・Aさん今回の実技では、初めて浴衣を着るところから、帯を結ぶところまで通してやりました。一人で着ることができて、本当に嬉しかったです!!はじめは、浴衣のたたみ方や名称も全く分からないゼロからのスタートだったのに、今ではたたむこともでき、何より着ることができるようになったのが本当に感激です!!毎回きちんとやれば、その分きちんと学ぶことができ、前回できなかったことが今回はできた!!と自分の成長を感じることができました。

みんなの努力(?)の甲斐あって、こんなに上手に浴衣が着られるようになりました!

浴衣の着付けや帯結びを通して、一緒に日本文化を体感してみませんか?




朝鮮文学史演習など 担当・渡辺直紀


「朝鮮文学史演習1・2」(2007年度から開講予定)

この演習は、いわゆる「文学作品」だけではなく、映像テキスト(ドラマや映画)や文字テキスト(詩、小説、評論など)を通じて、近代や現代の韓国・朝鮮の社会や文化、歴史などを全般的に理解することを目的としています。主として講義科目「朝鮮文学史1・2」の方で、それぞれのテーマについて、そのアウトラインを説明しますので、この演習科目では具体的な資料や史料に直接触れて理解していくことになります。韓国・朝鮮語はできた方がいいですが、全くできなくても日本語だけで理解できるように授業を進めます。基本的に次のようなテーマをそれぞれ3~4回かけて検討していこうと考えています。

○「<春香伝>と韓国社会――フェミニズム的視角から見た女性表象の変遷」:いわゆる「パンソリ」(謡)の演目として最も有名で、韓国や北朝鮮で国民的な物語とされている<春香伝>。この物語が映画などでいかにリメイクされてきたかを見ることで、韓国社会において女性がいかに描かれ、女性に対する役割付与の言説がいかに再生産されてきたかを検討します。

○「植民地都市<京城>と風俗描写、モダニズム」:1930年代のモダニズム小説、李箱「つばさ」(1936)や朴泰遠「川辺の風景」(1936-37)、また当時の漫画などに描かれた植民地都市・京城(現在のソウル)の姿を見ながら、文学と都市の関係、また植民地近代性(colonial modernity)の問題を考えます。

○「1945年8月15日――植民地解放(韓国・朝鮮)と終戦(日本)のあいだ」:1945年8月15日は韓国・朝鮮と日本でそれぞれどのように迎えられたかを、当時の歴史的資料や文学作品などを見て理解する一方、それが現在に至るまでどのように回顧されてきたかを考えることで、<歴史>と<記憶>の問題を考えていきます。

○「韓国における<1980年代>と内省の言説」:1980年5月のいわゆる「光州事件」を扱った映画(「ペパーミントキャンディ」など)や小説(イム・チョルウ「春の日」など)、ドラマ(「第五共和国」など)を見ながら、政治的な大事件や惨劇がいかに個人的な内面描写と結びつくかを理論的に考察してみます。

○「「ヨン様」とは何か――韓流ブームとメロドラマ的想像力について」:「冬のソナタ」から「チャングムの誓い」に至るまで、この数年来、日本で大きな反響を呼んでいるいわゆる「韓流ドラマ」をいくつか実際に見て、そこで喚起される想像力がいかなる性質を持ったものなのかを検討し、「韓流ブーム」の今後を展望します。

――その他、いろいろなテーマを予定しています。関心のある学生のみなさんの受講をお待ちしています。


 


「韓国・朝鮮語上級演習1・2」

基礎的な文法などを1年ほど学んだ学生が、さらに次の段階を目指す演習です。テレビコマーシャルなどの映像テキストや、広告・ポスターなどの文字テキストを用いながら、現代韓国の生きた韓国語を学んでいきます。授業は基本的にやさしい韓国語で進め、コマーシャルの台詞や広告の文章を理解した上で、ロールプレイングなどの練習を中心に行います。また教材で使用したコマーシャルや広告の背景となっている韓国の社会問題や企業文化などについても調べていって、それを各自まとめて簡単なプレゼンテーション(報告)を韓国語で行えるように指導します。使用するコマーシャル・広告は次のようなものを予定しています。――「大韓航空」「LGテレコム」「サムソンAnycall(携帯電話)」「現代自動車」「百歳酒」「ヘチャンドゥル・コチュジャン(唐辛子みそ)」「ハナ銀行」「ミスターピザ」「KTF」など。


 



 




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投稿者: Administrator 投稿日時: 木, 2006-01-19 08:11