人文学部


八木清治 教授


八木 清治(やぎ きよはる)

■略歴

昭和27年1月14日 滋賀県生まれ
昭和49年 大阪市立大学経済学部卒業
昭和55年 東北大学大学院文学研究科博士課程前期修了
昭和56年 東北大学大学院文学研究科博士課程後期編入学
昭和62年 同上単位取得退学
昭和63年 東京農業大学、東海大学文学部非常勤講師
平成2年 福岡女学院大学人文学部専任講師
平成6年 福岡女学院大学人文学部助教授
平成7年 武蔵大学助教授
平成10年 武蔵大学教授、現在に至る

■主要著作・論文・研究活動など

1.『江戸の儒学-『大学』受容の歴史-』源了圓編(共著)、思文閣出版、京都、1988
2.「福沢諭吉の宗教論説-その政教分離論を中心に-」『国家と宗教-日本思想史論集-』源了圓・玉懸博之編、思文閣出版、京都、1992
3.「経験的実学の展開」『日本の近世 13 儒学・国学・洋学』頼祺一編、中央公論社、東京、1993
4.「幕末日本的亜洲聯合思想-勝海舟的三国同盟論-」『変動期的東亜社会与文化』天津人民出版社 2002
5.『旅と交遊の江戸思想』(単著)、花林書房、東京、2006

■専門・所属学会・その他前年の主要社会活動

 大学院では日本思想史を専攻し、それ以後江戸時代から明治維新期にかけての思想研究を続けてきました。研究の目的を全体的にいうと、日本の近代化過程を人間の意識や観念の側面から解明することですが、現在はそれらを生み出す基盤となる経験や思想の交流に研究の主眼を置いています。そのような意味から、「旅」と「交遊」をキーワードにして近世思想史の展開を本にまとめました。
日本思想史学会に所属。

■メッセージ

 経済学部出身なのですが、思想史という学問に紛れ込んでしまいました。特別に強い動機があったわけではありませんが、大学3年の冬(そろそろ就職のことを考え始める時期)、たまたま当時同じゼミの友人から一冊の本を借り受けたのがきっかけでした。その本の書名は『日本政治思想史研究』、著者は故丸山真男氏。決して読みやすい本ではなかったのですが、その時受けた強い印象だけは今でもよく覚えています。当時、不勉強な私にとってただ難しいだけの経済学の専門書とは異なる魅力ある世界がそこに出現したわけです。もともと、経済学部にいながらその分野にはほとんど興味がもてず、思想や歴史や文学の本ばかり、それこそ暇にまかせて気の向くまま読みあさっているだけの学生に、はじめて学問の世界の魅力を感じさせてくれたのがその書物でした。著者については、それまであまりよい印象をもっていなかったのですが(当時、丸山真男は学生運動に敵対したアカデミズムの権化のように見なされていました)、その本に接してみると、私の中で評価が逆転してしまいました。その一方で自分に相応しい学問を発見できたという喜びを得て(冷静に振り返ると一種の錯覚だったかも知れませんが)、この学問に賭けてみようという人生の選択も生まれました。
 
人生にはさまざまな出会いがあるものです。高校生までは、どちらかというと既定のレールの上で、勉強させられてきた面が強かったと思います。大学生になっても、やはり同じように勉強させられている、とは絶対に感じないでください。自分の心を揺さぶる興味を掘り起こし、自分の中に潜んでいる向学心を覚醒させてください。自分に見合った個性的な何か、自分らしい何かを発見していくこと、それが本来自由な学生生活の特権だと思います。自己と他者を比べて優劣を競い合うのではなく、自己に相応しい個性的な価値を見出し、それを大切に育てていってほしいと思います。