丸山 伸彦(まるやま のぶひこ)
■略歴
1957年7月30日 東京生まれ
1977年 東京大学理科II類入学
1983年 同大学文学部美術史学科 卒業
1983年 同大学大学院人文科学研究科美術史学専修課程 入学
1985年 同大学大学院 修了
1985年 国立歴史民俗博物館 情報資料研究部助手
1997年 同博物館同研究部助教授
2000年 金沢美術工芸大学美術科芸術学専攻助教授
2003年 武蔵大学人文学部教授、現在に至る
■主要著作・論文・研究活動など
「近代の造形としての小袖屏風」(編著 国立歴史民俗博物館資料図録『野村コレクション小袖屏風』2002.3)
「帯留の発生と展開」(国立歴史民俗博物館企画展示図録『男も女も装身具―江戸から明治の技とデザイン―』 2002.7)
『すぐわかる染め・織りの見わけ方』(監修 東京美術 2002.7)
「絵画の中の歴史イメージ―その伝承と誤謬についての一考察」(栃木県立美術館展示図録『近代歴史画と羽石光志』 2002.10)
「友禅の虚像と実像」(玉蟲敏子編『講座日本美術史5〈かざり〉と〈つくり〉の領分』東京大学出版会 2005.10)
■専門・所属学会・その他前年の主要社会活動
日本の服飾・染織に関することを、美術史的な視点から研究しています。今年のテーマは、昨年一部仕上げた、近代における絵師宮崎友禅斎に対する幻想の問題も含めて、友禅染全体をまとめることです。美術学会、服飾美学会に所属しています。
■メッセージ
1985年4月から2000年の10月までは、15年半の間は、千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館に勤務していました。この博物館には、近世の染織資料としては第一級に属する「野村コレクション」と通称される小袖関係の資料軍が収蔵されています。ここでの私の主要な仕事のひとつは、このコレクションを核として、染織品をはじめとする美術関係資料を調査・研究し、企画展示としてまとめあげていくことでした。展示のプロジェクトは、多くの人たちと共同作業で、いろいろと苦労もありましたが、なかなかにやりがいのある仕事でした。カタログの校正のために出版社に泊り込んだり、美術運搬車に同乗して全国を行脚したり、深夜まで展示の調整をしたりと、いつもてんやわんやの大騒ぎでしたが、そのお陰で実物資料に直に接するという貴重な経験を積むことができました。
2000年の10月からは、心機一転、金沢美術工芸大学に異動しました。ここは金沢市立で、学生総数700人という非常にコンパクトな美術系単科大学です。面白いのは、大学全体が不夜城のようであった点で、24時間学内のどこかに学生がいて制作や勉強に打ち込んでいました。
さて、千葉県にある国立の博物館と北陸にある市立の美大という、二つの大学(研究組織)を経験して、今、思うのは、武蔵大学がたいへん恵まれた環境にあるということです。少なくとも私の専門分野に関するかぎり図書館の充実度は高いし、国会図書館や都立中央図書館へのアクセスもたいへん良い。美術展や博物館の展示にしても、重要度の高いものはまず東京近郊で開催されるのが常ですから、この分野における情報量の豊かさは圧倒的です。地下鉄大江戸線を利用すれば、神田の古本屋にもすぐに行けます。もちろん、他にも優れた点が多々あるのですが、普段から恵まれた環境にいると、えてしてその素晴らしさには気づきにくいもの。私の場合、人文学において到達すべき学生の最終目標は、オリジナルの問題を見つけ出し、資料の渉猟や論理の構築によって、提起した問題に対して説得力のある結論を導き出していく、その「攻略法」を体得することにある、と位置づけています。武蔵大学がそういった目標を達成するうえで、情報を入手しやすい非常に恵まれた環境にあることを、けっして忘れないで下さい。そして在学中、この環境を最大限利用する方法を、教員や仲間達に積極的に相談して、自分に適した独自の「攻略法」をできるだけ早く見つけ出してください。正直に告白すると、自分がついつい、この環境の素晴らしさを忘れてしまいがちなので、敢えてここで喧伝しているのです。

