福間 具子(ふくま ともこ)
■略歴
1974年8月25日 青森県生まれ
1993年 県立青森高校卒業、東京大学文科三類入学
1997年 東京大学文学部卒業
1997年 東京大学大学院人文社会系研究科修士課程入学
1999年 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程進学
2002年 ドイツ学術振興会年間奨学生としてミュンヒェン大学留学
2004年 東京大学大学院人文社会系研究科にて、文学博士号取得、同博士課程修了
2004年 東京大学文学部ドイツ語ドイツ文学研究室助手
2005年 武蔵大学人文学部専任講師
■主要著作・論文・研究活動など
1.『具有される異性-パウル・ツェランの内なる詩学』
(東京大学博士論文ライブラリー、オンデマンド出版 2004年)
2.記憶と行動-マネス・シュペルバーにおける<持続>の構造
(『武蔵大学人文学会雑誌』第38号 第4巻所収 2007年
3.ツェランと<可能的>時間像-文献学的研究の光学のもとで
(『武蔵大学人文学会雑誌』第38号 第1巻所収 2006年
4.異性の婚姻・異性の省察-パウル・ツェランの詩論『子午線』前史
(『世界文学』第95号所収 2002年)
5.「石に語りかけるように」―パウル・ツェランにおけるHeterologie(ヘテロロギー)―
(『ツェラーン研究』第3号(日本ツェラーン協会)2001年)
■専門・所属学会・その他前年の主要社会活動
東欧出身のユダヤ人で、のちに20世紀ドイツ語圏文学を代表する詩人となったパウル・ツェランの研究を通じて、言葉のもつ可能性と限界、ユダヤ性とは何かを問い続けています。さらにそこから派生して、彼の故郷である東欧の文学や地域性を学ぶことにより、<直接性>というキーワードのもと、言語に映し出される東欧の精神性、周縁性などに深い関心を持っています。日本独文学会、日本ツェラーン協会、オーストリア文学研究会所属。
■メッセージ
今日、文学を学ぼうとすると、「それが実社会で何の役に立つのか」、という問いにぶつからざるを得なくなっています。たしかに、自分の置かれている境遇との共通点が少ない外国や別の時代の作品を読み、読書感想文を書いてどうなるというのでしょうか。
しかし、文学にはひとつの大きな秘密があります。一篇の文学作品を、ひとりの他者だと思ってください。本を手に取った人は、一対一である他者に向き合っているのです。はじめは相手がどんな環境にあり、どんな考え方をしているのかわからないために、互いのコミュニケーションが噛み合っていないと感じることでしょう。でも、根気よく相手の言葉に耳を傾け、なぜ相手がそのような言葉を紡ぎだしているのか、その根幹まで入り込んでいってください。必ず、心が通じる地平に辿り着けるはずです。
文学という場は、一対多の関係ではなく、一対一で向きあい理解し合うための心の練習場なのだと思います。だから、作品を理解できる人は、現実社会の中でのコミュニケーションの力も強くなります。そして、人間が見えるようになると、社会の動き、時代の行方もだんだんと見えるようになるのです。-一対一の関係を育てるのは、言葉です。言葉を汲み取ること、そして心を汲み取ることを、文学を通じて学んで欲しいと思います。

