西村 淳子(にしむら じゅんこ)
■略歴
昭和59年 パリ第五大学一般言語学科博士課程修了(言語学博士号取得)
昭和62年 名城大学理工学部専任講師
平成5年 名城大学理工学部助教授
平成8年 武蔵大学人文学部教授、現在に至る
平成15年 フランス国立研究所CNRS UMR 8606客員研究員(平成16年3月まで)
■主要著作・論文・研究活動など
1.Langue et Langage: Manifestation de l' Observateur dans la Description Spatiale, the`se de doctorat de 3 ecycle, l' Universite´ Paris V, 1984, pp.1-496, appendice pp.1-10.
2.「空間記述における観察者の表現について」、『フランス語フランス文学研究』第47号、1985, pp.98-107.
3.「代名詞 on の使用について」、『立命館文学』第501号、1987, pp.1-21.
4.『フランス語とはどういう言語か』、駿河台出版社、1993、(共著)、pp.263-291.
5.「テクストの時制分布と連関の形-テクスト言語学の方法-」、『武蔵大学人文学会雑誌』第36巻1号、2004, pp.37-73.
■専門・所属学会・その他前年の主要社会活動
言葉によるコミュニケーションがどのように行われるかという問題を、言語構造の面からと、使用行為という面の両方から研究。とりわけフランス語に関して、話す対象ではなく、話す主体(話者)が、言語構造や談話構成にどのように現れるかを分析。また、隠喩、前提、会話の合意など「言外の意味」の成立過程や談話分析の方法論、テクスト言語学にも取り組んでいる。
所属学会
日本フランス語フランス文学会、日本フランス語学会
■メッセージ
「大きな家か小さな家かどちらに住みたいですか」と聞かれるとたいていの人は「大きな家」と答えるでしょう。「大きな世界か小さな世界かどちらに住みたいですか」と聞かれるとどうでしょうか。やはり大きな世界に住みたいのではないでしょうか。どのくらい広い世界に住むかを決める一つの要因は言葉の能力です。大きな家を建てること、つまり、言語を学ぶことは簡単なことではありませんが、それゆえなおさら若い時にしっかりした基礎を作って欲しいと思います。
話は変わりますが、今ヨーロッパでは、国家という枠組みを超えるEUヨーロッパ連合という統合の試みが進行しています。その中で、人や教育の交流が飛躍的に進んでいます。1987年にエラスムス計画として始まった学生や教育者の交流も、その後ソクラテス計画として規模が拡大し2002年10月には、この制度を利用して留学した人が100万人を超えました。ヨーロッパは、個々の言語文化の固有性と統一を両立させるために、交流を盛んにし、多言語話者の層を広げるという方向を目指しています。そのソクラテス計画の精神がホームページに載っています。その中に次のような言葉がありました。それによると、「言語を学ぶということは、個人のレベルでは、より良いキャリアを持つことにつながる。外国で働いたり、勉強したり、もっとヴァカンスを楽しめるようにもなるだろう。企業にとっても、多言語を話す人材は貴重である。ところが、もっと本質的な問題として、言語は話す人のアイデンティティーの一部であり、文化である。したがって、他人の考えを理解しようとすることでもあり、人種差別、外国人嫌い、不寛容に対抗することになるのである。」
一挙にたくさんの言語を身に付けることは無理だとしても、新しい言語との出会い、そこで生まれた好奇心を大切にして、自分の言葉の世界を豊かにしましょう。語学の天才のような人もいますが、私は、言葉に強くなるには、大きな才能よりも、小さな努力を絶え間なく持続することが一番大切だと思っています。大学生活をそれだけで完結したものと捉えるのではなく、一生自分の世界を広げていく一つの過程だと捉えて、言葉を自分の世界を広げる窓口にしてください。

