人文学部


吉川純子 教授


吉川 純子(よしかわ じゅんこ)

■略歴

昭和55年 お茶の水女子大学文教育学部入学
昭和59年 同上卒業、お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程入学
昭和62年 同上修了、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程入学
平成元年 ニュージャージー州立ラトガース大学大学院英文学専攻修士課程入学
平成4年 お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程満期退学
平成4年 都留文科大学、駿河台大学非常勤講師
平成5年~7年 東京大学教養学部助手
平成6年 ニュージャージー州立ラトガース大学大学院英文学専攻修士課程修了
平成7年 武蔵大学専任講師
平成9年 同助教授
平成16年 同教授、現在に至る

■主要著作・論文・研究活動など

1.「行間に愛をささやいて――1950年代のレズビアン・パルプフィクション」『女というイデオロギー』(南雲堂、1999)所収
2.「『オズの魔法つかい』の作者L.F. バームと19世紀アメリカ――消費文化とファンタジー」『時代を生きた人々』(御茶の水書房、2001)所収
3.「異装のロマンス――パトリシア・ハイスミスの『苦い代償』と1950年代アメリカ」『かくも多彩な女たちの軌跡』(南雲堂、2004)所収

■専門・所属学会・その他前年の主要社会活動

 所属学会は日本英文学会と日本アメリカ文学会およびModern Language Association (USA) ですが、興味がだんだん文化史、社会史にシフトしてきてしまい、あまり「文学」していません。と言うより、いわゆる「正典(キャノン)」文学よりも大衆文学のほうが、書かれた時代の文化やイデオロギーを露骨に反映しているので面白いと思うようになったと言うべきでしょうか。今いちばん興味があるのは、1950年代、冷戦初期のアメリカ文化と文学です。
 
当時のアメリカ文化は、第二次世界大戦後の日本に多大な影響を与えました。ファーストフード、クレジットカード、テレビなどはこの時代に始まった(テレビは普及した)ものですし、郊外化、核家族化、企業戦士の夫と専業主婦の妻というライフスタイルが一般化したのもこの時代です。
 
ただし、一見豊かでのどかな時代に見える50年代アメリカには、東西冷戦、核戦争の恐怖、相互監視と密告、マイノリティの弾圧と排除という暗黒面もありました。多くの人々は社会規範からの逸脱を恐れていましたが、その一方で商業主義が人々の欲望を煽り立ててもいましたし、マイノリティが声を上げ始めてもいました。要するに矛盾に満ちた時代だったわけですが(矛盾に満ちていない時代なんてありませんけど)、50年代アメリカは、現在の日本とどれくらい似ていてどれくらい違うのでしょうか。
 
これから研究しようと思っているのは、「50年代アメリカの家族と冷戦」です。核家族は、核兵器と並ぶ冷戦の「新兵器」でした。アメリカ政府は、家族を国家防衛の単位と見なして、家庭用核シェルターの普及キャンペーンや核攻撃を想定した避難訓練など行っていたのです。かつて「家庭の天使」と呼ばれた専業主婦は、「家庭の戦士」になりました。信じられないかもしれませんが、本当です。